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四畳半神話大系

ジャンル
小説
作者
森見 登美彦

大学三回生の春までの二年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言しておこう。異性との健全な交際、学問への精進、肉体の鍛錬など、社会的有為の人材となるための布石の数々をことごとくはずし、異性からの孤立、学問の放棄、肉体の衰弱化などの打たんでも良い布石を狙い澄まして打ちまくってきたのは、なにゆえであるか。 責任者に問いただす必要がある。責任者は何処か。 私とて誕生以来こんな有り様だったわけではない。

作者情報

 画像

日本の小説家。
奈良県生れ。京都大学農学部大学院修士課程修了。

2003(平成15)年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、作家デビュー。

多くの作品の舞台が京都で、独特の妄想的な虚構世界を小気味のよい筆致で描き、読者を引き込む。

作品に『夜は短し歩けよ乙女』(2006年)、『宵山万華鏡』(2009年)、『夜行』(2016年)など。