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流し読む冒頭

流し読み(ながしよみ)とは集中して読むのではなく、力を抜いて軽く読むさま。読み流すさま。

浮雲

ジャンル
小説
作者
林 芙美子
なるべく、夜更けに着く汽車を選びたいと、三日間の収容所を出ると、わざと、敦賀の町で、一日ぶらぶらしてゐた。

セロ弾きのゴーシュ

ジャンル
小説
作者
宮沢 賢治
ゴーシュは町の活動写真館でセロを弾く係りでした。けれどもあんまり上手でないという評判でした。上手でないどころではなく実は仲間の楽手のなかではいちばん下手でしたから、いつでも楽長にいじめられるのでした。

太宰治情死考

ジャンル
小説
作者
坂口 安吾
新聞によると、太宰の月収二十万円、毎日カストリ二千円飲み、五十円の借家にすんで、雨漏りを直さず。

君死にたまふことなかれ

ジャンル
作者
与謝野 晶子
あゝをとうとよ、君を泣く、
君死にたまふことなかれ、
末に生れし君なれば
親のなさけはまさりしも、
親は刃(やいば)をにぎらせて
人を殺せとをしへしや、
人を殺して死ねよとて
二十四までをそだてしや。

伊豆の踊子

ジャンル
小説
作者
川端 康成
道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨足が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追ってきた。

返事はいらない

ジャンル
小説
作者
宮部 みゆき
その男は、真夏の強い日差しを照り返すアスファルトの路上に立っていた。

潮騒

ジャンル
小説
作者
三島 由紀夫
歌島は人口千四百、周囲一里に充たない小島である。 歌島に眺めのもっとも美しい場所が二つある。一つは島の頂きちかく、北西にむかって建てられた八代神社である。

山月記

ジャンル
小説
作者
中島 敦
隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃むところ頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった。

野菊の墓

ジャンル
小説
作者
伊藤 左千夫
後の月という時分が来ると、どうも思わずにはいられない。幼い訳とは思うが何分にも忘れることができない。

それから

ジャンル
小説
作者
夏目 漱石
誰か慌ただしく門前を馳けて行く足音がした時、代助の頭の中には、大きな俎下駄が空から、ぶら下っていた。けれども、その俎下駄は、足音の遠退くに従って、すうと頭から抜け出して消えてしまった。そうして眼が覚めた。枕元を見ると、八重の椿が一輪畳の上に落ちている。

I Have a Dream

ジャンル
演説
作者
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア
I am happy to join with you today in what will go down in history as the greatest demonstration for freedom in the history of our nation.

( 今日私は、米国史の中で、自由を求める最も偉大なデモとして歴史に残ることになるこの集会に、皆さんと共に参加できることを嬉しく思う。 )

駈込み訴え

ジャンル
小説
作者
太宰 治
申し上げます。申し上げます。旦那さま。あの人は、酷い。酷い。はい。厭な奴です。悪い人です。ああ。我慢ならない。生かして置けねえ。

枕草子

ジャンル
随筆
作者
清 少納言
春は、曙。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこし明りて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。

古事記

ジャンル
神話
作者
太 安万侶
天地(アメツチ)初めて発(ヒラ)けし時、高天原(タカアマノハラ)に成りし神の名は、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)、次に高御産巣日神(タカミムスヒノカミ)、次に神産巣日神(カムムスヒノカミ)。この三柱の神は、みな独神(ヒトリガミ)と成りまして、身を隠したまひき。

重力ピエロ

ジャンル
小説
作者
伊坂 幸太郎
春が二階から落ちてきた。
私がそう言うと、聞いた相手は大抵、嫌な顔をする。気取った言い回しだと非難し、奇をてらった比喩だと勘違いをする。そうでなければ、「四季は突然空から降ってくるものなんかじゃないよ」と哀れみの目で、教えてくれる。

幸福

ジャンル
小説
作者
キャサリン・マンスフィールド
バーサ・ヤングは三十にもなるが、まだときおりこんな気持におそわれるときがある、歩いていずに走りたくなったり、舗道の上でダンスのステップを踏んでみたくなったり、輪まわしをころがしてみたくなったり、なにかを宙にほうりあげてそれを受けとめてみたくなったり、そうかと思うと、じっと立ち止まって――なんということもなく――まったく、なんということもなく笑いたくなったり……。

砂の女

ジャンル
小説
作者
安部 公房
八月のある日、男が一人、行方不明になった。休暇を利用して、汽車で半日ばかり海岸に出掛けたきり、消息をたってしまったのだ。捜索願も、新聞広告も、すべて無駄におわった。

羅生門

ジャンル
小説
作者
芥川 龍之介
或日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。広い門の下にはこの男の外に誰もいない。唯、所々丹塗(ニヌリ)の剥げた、大きな円柱に、蟋蟀(キリギリス)が一匹とまっている。

高野聖

ジャンル
小説
作者
泉 鏡花
「参謀本部編纂の地図をまた繰り開いて見るでもなかろう、と思ったけれども、あまりの道じゃから、手を触るさえ暑くるしい、旅の法衣(コロモ)の袖をかかげて、表紙を附けた折り本になっているのを引っ張り出した。

更級日記

ジャンル
日記
作者
菅原 孝標女
あづまぢの道のはてよりも、なほ奥つかたに生ひ出でたる人、いかばかりかはあやしかりけむを、いかに思ひはじめける事にか、世の中に物語といふ物のあんなるを、いかで見ばやと思ひつつ、つれづれなる昼間・宵居(ヨイヰ)などに、姉・まま母などやうの人々の、その物語・かの物語・光源氏のあるやうなど、ところどころ語るを聞くに、いとどゆかしさまされど、わが思ふままに、そらにいかでかおぼえ語らむ。