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流し読む冒頭

流し読み(ながしよみ)とは集中して読むのではなく、力を抜いて軽く読むさま。読み流すさま。

にごりえ

ジャンル
小説
作者
樋口 一葉
おい木村さん信さん寄つてお出よ、お寄りといつたら寄つても宜いではないか、又素通りで二葉やへ行く気だらう、

阿Q正伝

ジャンル
小説
作者
魯迅
わたしは阿Qの正伝を作ろうとしたのは一年や二年のことではなかった。けれども作ろうとしながらまた考えなおした。これを見てもわたしは立言の人でないことが分る。

蒲団

ジャンル
小説
作者
田山 花袋
小石川の切支丹坂から極楽水に出る道のだらだら坂を下りようとして渠は考えた。「これで自分と彼女との関係は一段落を告げた。三十六にもなって、子供も三人あって、あんなことを考えたかと思うと、馬鹿々々しくなる。けれど……けれど……本当にこれが事実だろうか。あれだけの愛情を自身に注いだのは単に愛情としてのみで、恋ではなかったろうか」

猿面冠者

ジャンル
小説
作者
太宰 治
どんな小説を読ませても、はじめの二三行をはしり読みしたばかりで、もうその小説の楽屋裏を見抜いてしまったかのように、鼻で笑って巻を閉じる傲岸不遜の男がいた。

ジャンル
小説
作者
森 鴎外
古い話である。僕は偶然それが明治十三年の出来事だと云うことを記憶している。

暗夜行路

ジャンル
小説
作者
志賀 直哉
私が自分の祖父のある事を知ったのは、私の母が産後の病気で死に、その後二月程経って不意に祖父が私の前に現れてきた、その時であった。私の六歳の時であった。

蟹工船

ジャンル
小説
作者
小林 多喜二
「おい地獄さ行えぐんだで!」
二人はデッキの手すりに寄りかかって、蝸牛(かたつむり)が背のびをしたように延びて、海を抱かかえ込んでいる函館の街を見ていた。

箱男

ジャンル
小説
作者
安部 公房
これは箱男についての記録である。

グスコーブドリの伝記

ジャンル
小説
作者
宮沢 賢治
グスコーブドリは、イーハトーヴの大きな森のなかに生まれました。
おとうさんは、グスコーナドリという名高い木こりで、どんな大きな木でも、まるで赤ん坊を寝かしつけるようにわけなく切ってしまう人でした。

方丈記

ジャンル
随筆
作者
鴨 長明
行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。

ジャンル
小説
作者
司馬 遼太郎
雪が来る。

もうそこまできている。あと10日もすれば北海からの冬の雲がおおい渡って来て、この越後長岡の野も山も雪でうずめてしまうにちがいない。

文鳥

ジャンル
小説
作者
夏目 漱石
十月早稲田に移る。伽藍の様な書斎に只一人、片附けた顔を頬杖で支えていると、三重吉が来て、鳥を飼いなさいと云う。

金閣寺

ジャンル
小説
作者
三島 由紀夫
幼時から父は、私によく、金閣のことを語った。私の生まれたのは、舞鶴から東北の、日本海へ突き出たうらさびしい岬である。父の故郷はそこではなく、舞鶴東郊の志楽である。懇望されて、僧籍に入り、辺鄙な岬の寺の住職になり、その地で妻をもらって、私という子を設けた。

藪の中

ジャンル
小説
作者
芥川 龍之介
さようでございます。あの死骸を見つけたのは、わたしに違いございません。わたしは今朝いつもの通り、裏山の杉を伐りに参りました。すると山陰の藪の中に、あの死骸があったのでございます。あった処でございますか? それは山科の駅路からは、四五町ほど隔たって居りましょう。竹の中に痩せ杉の交った、人気のない所でございます。

機械

ジャンル
小説
作者
横光 利一
初めの間は私は私の家の主人が狂人ではないのかとときどき思った。

小さき者へ

ジャンル
小説
作者
有島 武郎
お前たちが大きくなって、一人前の人間に育ち上った時、――その時までお前たちのパパは生きているかいないか、それは分らない事だが――父の書き残したものを繰拡げて見る機会があるだろうと思う。その時この小さな書き物もお前たちの眼の前に現われ出るだろう。時はどんどん移って行く。お前たちの父なる私がその時お前たちにどう映るか、それは想像も出来ない事だ。

堕落論

ジャンル
小説
作者
坂口 安吾
半年のうちに世相は変った。醜の御楯といでたつ我は。大君のへにこそ死なめかへりみはせじ。若者達は花と散ったが、同じ彼等が生き残って闇屋となる。ももとせの命ねがはじいつの日か御楯とゆかん君とちぎりて。けなげな心情で男を送った女達も半年の月日のうちに夫君の位牌にぬかずくことも事務的になるばかりであろうし、やがて新たな面影を胸に宿すのも遠い日のことではない。人間が変ったのではない。人間は元来そういうものであり、変ったのは世相の上皮だけのことだ。

幸福

ジャンル
小説
作者
キャサリン・マンスフィールド
バーサ・ヤングは三十にもなるが、まだときおりこんな気持におそわれるときがある、歩いていずに走りたくなったり、舗道の上でダンスのステップを踏んでみたくなったり、輪まわしをころがしてみたくなったり、なにかを宙にほうりあげてそれを受けとめてみたくなったり、そうかと思うと、じっと立ち止まって――なんということもなく――まったく、なんということもなく笑いたくなったり……。

注文の多い料理店

ジャンル
小説
作者
宮沢 賢治
二人の若い紳士が、すっかりイギリスの兵隊のかたちをして、ぴかぴかする鉄砲をかついで、白熊のような犬を二疋つれて、だいぶ山奥の、木の葉のかさかさしたとこを、こんなことを云いながら、あるいておりました。

ごん狐

ジャンル
小説
作者
新美 南吉
これは、私が小さいときに、村の茂平というおじいさんからきいたお話です。