1. TOP
  2. 流し読む冒頭

流し読む冒頭

流し読み(ながしよみ)とは集中して読むのではなく、力を抜いて軽く読むさま。読み流すさま。

和泉式部日記

ジャンル
日記
作者
和泉 式部
ゆめよりもはかなき世の中をなげきわびつつあかしくらすほどに、四月十よひにもなりぬれば、木のしたくらがりもてゆく。

ジャンル
小説
作者
谷崎 潤一郎
先生、わたし今日はすっかり聞いてもらうつもりで伺いましたのんですけど、折角お仕事中のとこかまいませんですやろか?

幸福

ジャンル
小説
作者
キャサリン・マンスフィールド
バーサ・ヤングは三十にもなるが、まだときおりこんな気持におそわれるときがある、歩いていずに走りたくなったり、舗道の上でダンスのステップを踏んでみたくなったり、輪まわしをころがしてみたくなったり、なにかを宙にほうりあげてそれを受けとめてみたくなったり、そうかと思うと、じっと立ち止まって――なんということもなく――まったく、なんということもなく笑いたくなったり……。

銀河鉄道の夜

ジャンル
小説
作者
宮沢 賢治
「ではみなさんは、そういうふうに川だと云われたり、乳の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか。」

走れメロス

ジャンル
小説
作者
太宰 治
メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。

君の膵臓をたべたい

ジャンル
小説
作者
住野 よる
クラスメイトであった山内桜良の葬儀は、
生前の彼女にまるで似つかわしくない曇天の日にとり行われた。

ジャンル
小説
作者
芥川 龍之介
禅智内供の鼻と云えば、池の尾で知らない者はない。長さは五六寸あって上唇の上から顋の下まで下っている。形は元も先も同じように太い。云わば細長い腸詰めのような物が、ぶらりと顔のまん中からぶら下っているのである。

ジャンル
小説
作者
森 鴎外
古い話である。僕は偶然それが明治十三年の出来事だと云うことを記憶している。

竹取物語

ジャンル
物語
作者
不明
今は昔、竹取の翁といふものありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、万の事に使ひけり。名をばさぬきのみやつことなん言ひける。

平凡

ジャンル
小説
作者
二葉亭 四迷
私は今年三十九になる。人世五十が通相場なら、まだ今日明日穴へ入ろうとも思わぬが、しかし未来は長いようでも短いものだ。過去って了えば実に呆気ない。まだまだと云ってる中にいつしか此世の隙が明いて、もうおさらばという時節が来る。其時になって幾ら足掻いたって藻掻いたって追付かない。覚悟をするなら今の中だ。

或る女

ジャンル
小説
作者
有島 武郎
新橋を渡る時、発車を知らせる二番目の鈴が、霧とまではいえない九月の朝の、煙った空気に包まれて聞こえて来た。

坊っちゃん

ジャンル
小説
作者
夏目 漱石
親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校にいる時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事はある。

仮面の告白

ジャンル
小説
作者
三島 由紀夫
永いあいだ、私は自分が生まれたときの光景を見たことがあると言い張っていた。それを言い出すたびに大人たちは笑い、しまいには自分がからかわれているのかと思って、この蒼ざめた子供らしくない子供の顔を、かるい憎しみの色さした目つきで眺めた。

風の又三郎

ジャンル
小説
作者
宮沢 賢治
どっどど どどうど どどうど どどう
青いくるみも吹きとばせ
すっぱいかりんも吹きとばせ
どっどど どどうど どどうど どどう

蜻蛉日記

ジャンル
日記
作者
右大将道綱母
かくありし時過ぎて、世の中にいとものはかなく、とにもかくにもつかで、世に経る人ありけり。

徒然草

ジャンル
随筆
作者
吉田 兼好
つれづれなるままに、日ぐらしすずりにむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

返事はいらない

ジャンル
小説
作者
宮部 みゆき
その男は、真夏の強い日差しを照り返すアスファルトの路上に立っていた。

古今和歌集仮名序

ジャンル
和歌
作者
紀 貫之
やまとうたは、人の心を種として、万の言の葉とぞなれりける 世の中にある人、ことわざ繁きものなれば、心に思ふ事を、見るもの聞くものにつけて、言ひ出せるなり 花に鳴く鶯、水に住む蛙の声を聞けば、生きとし生けるもの、いづれか歌をよまざりける 力をも入れずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、男女のなかをもやはらげ、猛き武士の心をも慰むるは、歌なり・・・

阿Q正伝

ジャンル
小説
作者
魯迅
わたしは阿Qの正伝を作ろうとしたのは一年や二年のことではなかった。けれども作ろうとしながらまた考えなおした。これを見てもわたしは立言の人でないことが分る。

佳人

ジャンル
小説
作者
石川 淳
わたしは……ある老女のことから書きはじめるつもりでいたのだが、いざとなると老女の姿が前面に浮んで来る代りに、わたしはわたしはと、ペンの尖が堰の口ででもあるかのようにわたしという溜り水が際限もなくあふれ出そうな気がするのは一応わたしが自分のことではちきれそうになっているからだと思われもするけれど、じつは第一行から意志の押しがきかないほどおよそ意志などのない混乱におちいっている証拠かも知れないし、あるいは単に事物を正確にあらわそうとする努力をよくしえないほど懶惰(らんだ)なのだということかも知れない。