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帰去来

ジャンル
小説
作者
太宰 治

人の世話にばかりなって来ました。これからもおそらくは、そんな事だろう。みんなに大事にされて、そうして、のほほん顔で、生きて来ました。これからも、やっぱり、のほほん顔で生きて行くのかも知れない。そうして、そのかずかずの大恩に報いる事は、おそらく死ぬまで、出来ないのではあるまいか、と思えば流石さすがに少し、つらいのである。

作者情報

 画像

日本の小説家。本名は津島 修治(つしま しゅうじ)。

左翼活動での挫折後は、自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、第二次世界大戦前から戦後にかけて作品を次々に発表。

主な作品に『走れメロス』『津軽』『人間失格』がある。
没落した華族の女を主人公にした『斜陽』はベストセラーとなる。

戦後はその作風から、坂口安吾、織田作之助、石川淳、檀一雄らとともに新戯作派、無頼派と称されたが、典型的な自己破滅型の私小説作家であった。