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平凡

ジャンル
小説
作者
二葉亭四迷

私は今年三十九になる。人世五十が通相場なら、まだ今日明日穴へ入ろうとも思わぬが、しかし未来は長いようでも短いものだ。過去って了えば実に呆気ない。まだまだと云ってる中にいつしか此世の隙が明いて、もうおさらばという時節が来る。其時になって幾ら足掻いたって藻掻いたって追付かない。覚悟をするなら今の中だ。