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限りなく透明に近いブルー

ジャンル
小説
作者
村上 龍

飛行機の音ではなかった。耳の後ろ側を飛んでいた虫の羽音だった。蠅よりも小さな虫は、目の前をしばらく旋回して暗い部屋の隅へと見えなくなった。

作者情報

 画像

日本の小説家・映画監督・脚本家。
長崎県佐世保市出身。

武蔵野美術大学在学中の1976年、福生の米軍キャンプで麻薬とセックスに溺れる退廃的な若者たちを描いた『限りなく透明に近いブルー』で群像新人文学賞、及び芥川龍之介賞を受賞。

同作は100万部を売り上げた。ベストセラー作家として、村上春樹とともに時代を代表する作家と目された。

代表作に、『コインロッカー・ベイビーズ』『愛と幻想のファシズム』『69 sixty nine 』『トパーズ』『五分後の世界』『半島を出よ』などがある。

作家活動以外にも、『トパーズ』『KYOKO』など自作による映画の製作・監督を行なう、TV番組 『Ryu's Bar 気ままにいい夜』『日経スペシャル カンブリア宮殿』のホストを務める、一時期入れ込んでいたキューバ音楽のCDのプロデュースを行う、などマルチに才能を発揮した。

エッセイやメールマガジンを通して政治経済や社会問題に対して積極的にコメントしている。

2000年より約18年間芥川賞選考委員を務めていたが、2017年に開催された第158回を以て退任した。