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友情

ジャンル
小説
作者
武者小路 実篤

野島がはじめて杉子に会ったのは帝劇の二階の正面の廊下だった。野島は脚本家をもって私かに任じてはいたが、芝居を見る事は稀だった。

作者情報

 画像

日本の小説家・詩人・劇作家・画家。貴族院勅選議員。
日本芸術院会員、文化功労者、文化勲章受章者。名誉都民。贈従三位(没時叙位)。

伝記や美術論も数多い。

姓の武者小路は本来「むしゃのこうじ」と読むが、実篤は「むしゃこうじ」に読み方を変更した。しかし、一般には「むしゃのこうじ」で普及しており、本人も誤りだと糺すことはなかったという。仲間からは「武者」(ムシャ)の愛称で呼ばれた。

華族の出で、トルストイに傾倒し、『白樺』創刊に参加。
1918(大正7)年、宮崎県で「新しき村」のユートピア運動を実践、『幸福者』『友情』『人間万歳』等を著す。

昭和初期には『井原西鶴』はじめ伝記を多作、欧米歴遊を機に美術論を執筆、自らも画を描きはじめる。

戦後、一時公職追放となるが、『真理先生』で復帰後は、悠々たる脱俗の境地を貫いた。